家族の話
10年前に倒れた母を、父が8年間実家で介護していました。
「自分の残りの人生を、お母さんに全部あげる。」と父は言いました。
実際介護を始めると、とても大変そうでした。
倒れたその時から母は、水も食事も摂れない身体になり、胃にチューブで直接栄養を入れる生活になりました。
そんな母の前で、とても食事なんて出来なかった父は、キッチンで音を立てないように、
急いで食事を摂っていました。
糖尿病になったのは、それも原因かも知れません。
先月母が肺炎になり、入院しました。
そのまま人工呼吸器が外せなくなり、自宅介護が無理と判断されました。
8年間の介護生活は、あっけなく一瞬で終わりました。
その時、私はこれでいいんじゃないか。
父は自由な時間が増えるし、母も病院に居る方が安心だし・・・。と思いましたが
レンタルしていた、母の介護用の車椅子・大きな機械、色々運び出されて、
ガラーンとした部屋を見て
母は、もうここには二度と戻れないんだ。
そう思って、何とも言えない気持ちになりました。
父は介護とても大変だったと思います。
お風呂も外出も自由が無かったし、深く眠る事も出来なかったのです。
それでも、父は母の側にずっと居たかったと、悲しそうに言います。
お母さんの事、大好きなんですって。